こんにちは。りきやんです。
わたしは勤めている病院で防災委員に所属しています。
その立場で災害について考える機会がここ最近多くあります。
日本全国で比較的大きな地震が頻発しています。いずれ東日本大震災級の大地震が起こるのではないかと恐れています。
南海トラフ地震
わたしが住む地域は関西で、南海トラフ地震のリスクを考えなければなりません。
南海トラブ地震の規模は大きく広範囲の地域に影響を及ぼす可能性が高いです。マグニチュードは8-9で震度は最高7、津波の高さは10mが予想されています。
そのような巨大地震が今後40年以内に90%の確率で起きると予想されています。
わたしは40歳代ですので、平均寿命まで生きるとすれば90%の確率で大地震を体験するということになります。ほぼ確実に被災するということになります。
この画像は内閣府の防災情報ページから拝借しました。
南海トラフ地震だけでなく直下型地震のリスクも書かれています。
この表も内閣府の防災情報のページにある情報です。
単純な数字の比較でもいかに南海トラフ地震の被害の大きさが分かります。
備蓄状況
地震について調べれば調べるほど、地震発生時の備えが必須であることを実感します。
ところで、わたしが勤める病院の状況はどうなっているのだろう?フッと考えました。
確認したところ、備蓄については入院患者さんの3日分の食料と3日分に満たない飲料水です。
外来患者さんや従業員のための備蓄はありませんでした!
もう一度言います!備蓄はありません!
やばくないですか!?
飲まず食わず、排泄も睡眠もせずに業務を行わなければなりません。このような状況で入院患者さんや外来患者さんの命を守れるのでしょうか?いやいや、自分の命を守ることもできませんよね(笑)
わたしは率直に思いました。「やっばっ!!」
帰宅困難者
備蓄について調べていくと、ひとつのキーワードが出てきました。「帰宅困難者」です。
「帰宅困難者」とは、災害時に会社や出先から家に帰れなくなった人たちを指します。
「帰宅支援に関する協議会」は令和元年に「関西広域帰宅困難者対策ガイドライン」gaidoraik.pdf (kouiki-kansai.jp)をとりまとめました。その中で関西地域の「帰宅困難者」について以下のように記載しています。
今後 30 年間の発生確率が 70~80%とされる南海トラフ巨大地震では、長期間にわたり鉄
gaidoraik.pdf (kouiki-kansai.jp)
道、バス等公共交通機関(以下「公共交通機関」という。)が運転を停止することが想定され、
帰宅困難者数は関西圏域で 220~270 万人が見込まれる。
数字を見てもあまりピンと来ませんが、大量の帰宅困難者が発生する可能性があるということが分かります。
そして帰宅困難者に対する対策として「一斉帰宅の抑制」というキーワードが出てきました。
一斉帰宅の抑制についてガイドラインには以下のように書かれていました。
大規模地震等が発生し、公共交通機関が運行停止している中で、大量の帰宅困難
gaidoraik.pdf (kouiki-kansai.jp)
者が徒歩等により一斉帰宅を開始した場合には、救急・救命活動、救助活動、消火活
動、緊急輸送等緊急車両の通行の妨げになる可能性があり、応急活動に支障をきたすこと
が懸念されるとともに、帰宅困難者自身にも危険が及ぶ。
上の画像は東京都の「東京都帰宅困難者対策ハンドブック」から拝借しました。
そして企業等が平常時に取り組む項目として「施設内待機のための備蓄の確保」が挙げられていました。
備蓄の目安として従業員等を施設内に待機させるため最低3日分の備蓄を行うとされています。
この「関西広域帰宅困難者対策ガイドライン」gaidoraik.pdf (kouiki-kansai.jp)はガイドラインですので、特に従う必要はなくもちろん罰則もありません。
帰宅困難者に対する対策は全国で行われており、東京都では「東京都帰宅困難者対策条例」東京都帰宅困難者対策条例|東京都防災ホームページ (tokyo.lg.jp)が2013年に施行されています。東京都の条例も努力義務ですので罰則はありません。
しかし罰則がない努力義務だから準備しなくて良いのでしょうか。
この帰宅困難者対策は、東日本大震災のあった2011年に「首都直下地震帰宅困難者等対策協議会」が設立され今日まで継続的な対策検討がされています。
10年以上前から帰宅困難者に対する対策の検討が行われ、条例やガイドラインで企業に準備を促しているのにも関わらず全く準備せず震災が起こったときに安全が確保できていないまま帰宅し命を落とす事態になったとき、その家族は「努力義務だからしょうがないね」と納得できるでしょうか。
わたしが家族なら、まったく準備することのなかった企業に責任があると考え訴訟を起こすことも考えます。
そのような現状が、自分が働く病院であるということに危機感を感じました。
具体的に必要な備蓄
それでは具体的にどのような備蓄が必要なのでしょうか。
「関西広域帰宅困難者対策ガイドライン」gaidoraik.pdf (kouiki-kansai.jp)は3日分の備蓄量の目安として次のように記載しています。
- 水は、1人当たり1日3リットル、計9リットル
- 主食は、1人当たり1日3食、計9食
- 毛布は、1人当たり1枚
これに加えてわたしは簡易トイレも必要と考えます。なぜならトイレも人間の主要な欲求の一つだからです。トイレがなければすぐにでも二次災害が起きてしまいます。トイレは1人が1日5回使用で換算します。
その他、あったらいいな。っと思う備蓄品を挙げてみます。
- ビニールシート:床に敷くことでその上で座ったり横になったりが可能です。
- 携帯ラジオ:外部の情報を簡単に得ることができます。逆に情報が得られないと命取りとなる可能性もあります。
- 懐中電灯:大規模災害時は電気の供給が最低でも3日はストップします。夜間あかりがなければ移動も危険ですし、明かりがあれば精神の安定につながります。
- 乾電池:上で挙げた懐中電灯や携帯ラジオに必要です。その他にも使用用途は様々あるためあって困るものではありません。
- 衛生用品:トイレットペーパーなど生きる上で最低限必要かと考えます。
- 地図:帰宅困難者が安全に帰宅するために必要となります。
- ヘルメット:大きな余震が繰り返し起こる可能性があります。特にどうしても帰宅しなければならない人が外を歩く際に必要となるかと思います。
- 軍手:災害時に何をするにしてもあれば便利です。
- 救急医療薬品類:発災時に外傷を負う可能性が高いため応急処置物品は必須ではないでしょうか。
- 工具類:地震により閉じ込められた人を救助することができるのは、近くにいる人たちだけです。消防署や自衛隊員の救助を待っていも良いのですが、時間がどうしてもかかってしまいます。早く救助することができれば、その分命を救う可能性も高くなります。救助のためのギャッチやバールなどの工具類は必要となる可能性が高いです。
- 携帯用ガスコンロ:飲料水があればとりあえず生きることはできますが、温かいお湯を準備できれば非常食の幅も広がり被災者の精神の安定にもつながると思います。温かいコーヒーやお茶を飲むことができればとても救われると思います。
- 非常用発電機やポータブル電源:現在の生活は電力なしでは成り立ちません。逆を言えば、電力の供給があればある程度の生活が成り立ちます。携帯電話を充電できるだけでも大きな助けとなります。
- サーキュレーターや暖房器具:大規模災害時は当然ですが空調はストップします。建物の中とはいえ、夏は暑く冬は寒いです。サーキュレーターやカセットガス式の暖房器具があれば大きな助けとなります。カイロも有効ですね。
必要なものを挙げだすとキリがないですね。この辺は防災にかけることのできる費用との兼ね合いですので、予算との相談になります。
長くなりますので次に続きます。
それではまた(^^)/